唯一のルール:「毎日ゼロにしない」
最初にやったのは、理想を捨てることでした。「毎日3時間」を目標にしていた頃は、達成できない日の敗北感が積み上がって、学習そのものを辞めたくなりました。子どもが熱を出す、送迎と家事と仕事が重なる、寝かしつけで一緒に寝落ちする——できない日は、いくらでもあります。
そこで目標を、たった一つに絞りました。**「毎日ゼロにしない」**です。
30分でも、15分でもいい。コードを見る、教材を開く、それだけでもいい。とにかく「学習ゼロの日」を作らないことだけを守る。
これには理由があります。一度ゼロの日を作ると、次もゼロになりやすい。習慣は連続性で持っているので、途切れると再開に大きなエネルギーが要ります。逆に、どんなに短くても毎日触れていれば、感覚が途切れません。「少しでも触ったから、明日も続けられる」——この感覚が、継続の一番の支えでした。
実際の1日のスケジュール
言葉だけだと伝わりにくいので、当時の平日を出します。
5:30 起床・学習開始(約1時間)
7:00 子どもの朝支度・保育園へ送り出し
8:30 出勤(公務員として勤務)
17:30 退勤
18:30 夕食・入浴・寝かしつけ
21:00 自由時間(疲れていれば休む/余力があれば30分だけ復習)
22:30 就寝
見ての通り、「毎日5時間」はこのスケジュールでは物理的に不可能です。でも、朝の1時間+余力があれば夜の30分を積み上げると、週に7〜10時間になります。まとまった量は取れなくても、継続の形は作れる。これがこのスケジュールで体感したことです。
ポイントは、勝負を朝に置いたことです。夜は予測できません。子どもが寝ない、自分も寝落ちする、仕事の疲れで動けない。「夜にやろう」は、その日の状況次第でゼロになります。子どもが起きる前の30分〜1時間だけは、誰にも邪魔されない、集中できる確率の高い時間でした。
まとまった時間がないなら、隙間を積む
朝以外は、細切れの時間を拾い集めました。通勤中に技術ブログを読む。昼休みに前日詰まった部分を調べる。子どもの昼寝中に30分だけコードを書く。
「勉強は机に集中して座る時間でなければ」という思い込みを外すと、使える時間は一気に増えます。集中の質はもちろん違いますが、「コードを眺める」「概念を頭の中で整理する」程度なら、隙間で十分できます。
あわせて効いたのが、スマホ時間の見直しです。画面時間を確認したら、SNSとYouTubeに毎日1〜2時間使っていました。そこを少し削るだけで、学習時間は自然と増える。「時間がない」の正体は、多くの場合「まとまった時間がない」だけで、細切れならある、というのが正直なところでした。
比較の基準を「昨日の自分」に変えた
続けるうえで地味にきつかったのが、SNSとの比較でした。「毎日5時間」「3ヶ月で案件獲得」を見るたび、「自分は遅すぎる」と落ち込む。
ある時点から、比較の基準を「他人」から「昨日の自分」に切り替えました。昨日より少し進んでいればいい。昨日分からなかったことが今日分かればいい。それだけで、焦りが大幅に減りました。
同じ24時間でも、家族構成も、仕事も、体力も、人によって全然違います。他人のペースを自分の物差しにすることに、意味はありませんでした。
家族の理解は、仕組みの一部だった
一人だけが学習時間を確保するには、他の誰かがその分を引き受けています。だから「プログラミングを学んでエンジニアになりたい」という目標を、なぜそれが自分に大切なのかも含めて、家族にちゃんと伝えることから始めました。
大事なのは、その協力を当たり前にしないことでした。感謝を返し、自分も家事や育児にちゃんと向き合う。そうやって初めて、長く続けられる環境が保てました。これも精神論ではなく、継続の「仕組み」の一部です。
続けられた、本当の理由
正直に言うと、途中で何度も「もうやめようか」と思いました。進まない日が続くと「自分には無理かも」と思うし、子どもが体調を崩した週は丸ごと学習できないこともある。スクールの仲間が先に進むと、焦りと劣等感が重なります。
それでも続けた理由は、理屈ではありませんでした。「公務員を辞めてまで始めたことを、途中でやめたくない」。そして「子どもに格好いい背中を見せたい」。感情的な意地です。でも、それで十分でした。
続ける理由は、崇高でなくていい。「やめたくない」だけで、ちゃんと機能します。長期のモチベーションは、論理より感情の方が強いことがあると、身をもって知りました。
まとめ
子育てをしながらの学習は、簡単ではありませんでした。時間はないし、思い通りに進まない日ばかりです。
でも、やったことはシンプルです。長時間の勉強を諦め、「毎日ゼロにしない」だけを守り、朝に勝負を置き、隙間を積み、スマホを削り、家族の協力に感謝し、比較を手放し、「やめたくない」を原動力にする。特別なことは一つもありません。
「子どもがいるから無理」ではないと思います。隙間を見つける力、家族と協力する力、限られた時間で集中する力——子育てで鍛えられたこれらは、フリーランスになった今もそのまま武器になっています。
量を確保できないなら、継続の形を作る。どんなに短くても、毎日続けたものは積み上がります。このブログの名前どおり、完璧より、継続です。1年後の自分が「あのとき続けていてよかった」と思えるか——その一点で、今日の30分を判断してみてください。
参考までに、当時使っていたツールも挙げておきます。基礎の入りはProgate(疲れた夜でも10分だけ進められる)。朝は音声で聞けるUdemy(ただし必ず手を動かしながら)。慣れてからはLaravel公式ドキュメント(翻訳機能を使って読む習慣をつけた)。詰まった点と解決法はNotionに記録して、同じエラーで二度悩まないナレッジにしました。ただ、ツールより大切なのは習慣です。何を使うかより、毎日触れる状態を保つことの方が、ずっと重要でした。