はじめに
市役所職員と聞くと、「安定していて定時で帰れる仕事」というイメージを持つ人も多いかもしれません。自分も公務員を目指していた頃はそんなイメージを持っていました。
しかし実際に市役所で9年間働いてみると、想像していた通りのこともあれば、良い意味でも悪い意味でもギャップを感じることもありました。
今回は、元市役所職員として実際に働いて感じたことを率直に書きます。現在はフリーランスエンジニアとして活動していますが、公務員時代の経験は今でも活きています。これから市役所職員を目指している方の参考になれば嬉しいです。
この記事でわかること
- 市役所の仕事は部署によって何が違うのか
- 「安定・楽」というイメージとのギャップ
- 実際に感じた大変さとやりがい
- 市役所職員に向いている人・向いていない人
- 9年間働いた経験を今どう感じているか
市役所の仕事は部署によってまったく違う
最初に伝えておきたいのは、市役所の仕事は一括りにはできないということです。
市民課・税務課・福祉課・子育て支援・道路や公園などの管理・イベントや施設運営・総務や人事・財政——部署によって仕事内容は大きく変わります。窓口対応が中心の部署もあれば、外出が多い部署もありますし、デスクワークが中心の部署もあります。
数年ごとに異動があるため、「市役所ではこういう仕事をしている」という一言で説明するのが難しいのが実態です。自分自身もいくつかの部署を経験し、それぞれで全く違う種類の仕事をしていました。
思っていた以上に責任が重かった
学生の頃は「事務仕事」というイメージを持っていましたが、実際には責任の重さを感じる場面が多くありました。
市役所の仕事は、市民の生活に直接関わります。一つの判断が、市民サービスや行政手続きに影響することがあります。法律や条例に基づいて仕事を進めるため、間違いが許されない場面も少なくありません。
特に印象に残っているのは、書類の一字一句の確認作業です。公的な文書に誤りがあれば、市民に対して不利益が生じる可能性があります。「正確であること」の重さを、働き始めてから初めて実感しました。
人と接する仕事が圧倒的に多かった
「公務員=パソコンに向かっている仕事」と思われがちですが、実際は人と話す機会が非常に多いです。
市民対応・電話対応・業者との打ち合わせ・他部署との調整・会議——一日の中でコミュニケーションが占める割合が、想像より大きかったです。
窓口では、手続きに困っている方や、事情を抱えた方と接することもあります。マニュアル通りに対応するだけでなく、相手の状況を理解して丁寧に説明する力が求められました。人と接することが苦手な人は、想像以上に大変だと感じるかもしれません。
定時で帰れるとは限らない
「公務員は毎日定時で帰れる」というイメージを持つ人も多いと思います。
部署や時期によって大きく異なりますが、必ずしもそうではありません。繁忙期には残業が続くこともありましたし、イベントや災害対応などで休日に出勤することもありました。
特に年度末や、大きな事業が動いている時期は仕事量が増えます。「公務員だから楽」というイメージは、実際に働くと少し違うと感じる場面もありました。
ただ、繁忙期と閑散期の差はあっても、民間企業と比べると全体的に働き方のコントロールがしやすかったとも思っています。育児や介護などの事情がある人には、制度が整っている点はメリットです。
市民から感謝されることもあった
大変なことばかりではありません。
困っていた方の手続きを無事に終えたとき、イベントが成功したとき、施設を利用した方から「ありがとう」と言われたとき——こうした瞬間は、市役所で働いていて良かったと感じる時間でした。
特に印象に残っているのは、長年抱えていた手続き上の問題を一緒に整理して、最終的に解決できたときのことです。「本当に助かりました」という言葉をいただいたとき、この仕事の意味を実感しました。地域に貢献している感覚を日々持てることは、公務員ならではの魅力だと思います。
異動で仕事が大きく変わる
市役所では数年ごとに異動があります。
新しい部署へ行けば仕事内容を一から覚え直すことも珍しくありません。最初は大変ですが、その分さまざまな分野を経験できるというメリットもあります。
自分はこの経験のおかげで、「知らないことを素直に認めて、短期間でキャッチアップする力」が身についたと感じています。これはエンジニアになった今でも、新しい技術を学ぶときに活かされていると思っています。
市役所職員に向いている人・向いていない人
9年間働いた経験から、向いている人の特徴をまとめると以下のとおりです。
向いていると感じた人
- 人と話すことが苦ではない
- コツコツ仕事を進められる
- 法律やルールを守ることが苦にならない
- 地域に貢献したいという気持ちがある
- 責任感がある
物足りなさを感じやすい人
- 成果が給与や昇進にすぐ反映される環境を求める人
- 変化の大きい仕事を好む人
- 新しいことに次々挑戦していきたい人
自分自身は後半の「物足りなさを感じやすい人」に当てはまっていたと思います。だからこそ、プログラミングと出会って「もっと成長したい」という気持ちが強くなっていきました。
今振り返って思うこと
現在はフリーランスエンジニアとして働いていますが、市役所で働いた9年間の経験は今でも役立っています。
相手の立場を考えて説明する力。責任を持って仕事を進める姿勢。複数の関係者と調整を進める力——どれも公務員時代に身につけた大切な経験です。クライアントと接するときの姿勢や、丁寧な確認を怠らない習慣は、あの時代に作られたものだと感じています。
だから、市役所職員になったことを後悔していません。今の自分をつくってくれた、大切なキャリアだったと思っています。
まとめ
市役所職員の仕事は、「楽そう」「安定している」というイメージだけでは語れません。
部署によって仕事内容が大きく違い、責任が重く、人と接する機会が非常に多く、繁忙期には残業もある。その一方で、地域に貢献できるやりがいがあり、さまざまな経験を積める仕事でもありました。
もし市役所職員を目指しているなら、良い面だけでなく大変な面も知った上で進路を考えることをおすすめします。そのうえで「自分に合っている」と思えたなら、公務員はとてもやりがいのある仕事になるはずです。
関連記事
おすすめのサービス